妥協のない欧州の旅 (3)

1月1日 アムステルダム

1月1日(木)
10時半起床。窓から外を見ると雪がちらついている。気温は摂氏-1度。”CAFE AMERICAIN”で遅い朝食。今日はコンセルトヘボー(Concertgebouw)というホールでニューイヤーコンサートがある。アメリカからWeb経由でチケット申し込みをしていて、なかなか返事が返ってこずにやきもきしていたのだが、ギリギリになって予約がとれたのだ。この日のためだけにラフィエットから持ち込んだブレザーとネクタイ、シャツ、コットンパンツに革靴をスーツケースから取り出して着替える。クラシックコンサートに出かけるのは初めての経験。しかもニューイヤーコンサート。みんなえらい正装とかしてるんじゃないのか、とドキドキしつつタクシーでコンセルトヘボーまで。

だが、あにはからんや集まっている人々はけっこうカジュアルな服装だったので拍子抜け(もちろんタキシードや華麗なドレスを着ている紳士淑女の方々もいたが)。そういえば上品そうなご婦人が、白地に「安物買いの銭失い」と黒の毛筆風のプリント入りツーピースを着ていて驚愕。これはすごかった。あんたは鳥肌実か。

ホールに入る。数千人入ったら満員になるくらいのこじんまりとしたホール。いかにも伝統のありそうな、美しく上品な装飾。こりゃあすごいわ、と圧倒されているうちに午後1時。いよいよ開演である。が、いわゆるクラシックコンサートを想像していた我々夫婦はここでまたも予想を裏切られた。この日の公演は、ここを本拠地とするロイヤル・コンセルトへボー管弦楽団によるものではなく、Nederlands Blazers Ensembleによるものであり、古典的な管弦楽から、スパニッシュ・ギターやマンドリンをフィーチャーした曲、さらにはソウル、ゴスペル、ジャズからラップ、アフリカの民俗音楽に現代音楽風の曲まで、もうなんでもありのテンコ盛り。最後はDJが登場してテクノパーティーに変貌し、いやはやまことにヨーロッパの音楽に対する懐の深さを感じた2時間であった。

クラシック音楽に普段ほどんど接していない私達にはかえって親しみやすく、非常に良い入り口になったともいえる。これを機に夫婦のクラシック音楽への興味は一気に深まった。

それにしてもこのホールの音の良さには脱帽した。ポーディアムと呼ばれる、演奏者の斜め後ろにある少し変則的な場所から聴いたのだが、音が左右完全に均質に、そしてまことに美しく響くのだ。このホール、音楽を聴くためだけに作られたホールだそうで、いやなるほど確かにそう触れ込むだけのことはある。参りました。

コンサートが終って外に出ると雪はかなり強くなっている。タクシーに乗ってホテルに戻ったのが午後3時半。部屋で普段着に着替え、再び外出。本日のもう一つのメインイヴェントであり、ここアムステルダムに来た大きな理由の一つである・・・

【※もともとの文章から約50行を省略】

小一時間ほどして店を出た。ホテルに戻り、夕方5時から7時まで眠る。どうも夕方になると眠くなる。時差ボケが続いているのかもしれない。夜になって食事に出かける。今夜はインドネシア料理。蘭印というコトバもあるとおり、インドネシアは第二次大戦以前はオランダ領であった(石油資源が必要であった日本が太平洋戦争の最初期に攻略した国のひとつがオランダ領インドネシアだった)。というわけでアムステルダムにはインドネシア料理の店がかなりたくさんあるのだ。ウェイターも非常に接客態度が良く、料理も良かった。

満足して店を出て・・・

【 ※もともとの文章から3行を省略】

店を出て、通りを歩いているとChill Out Shopという、大麻に関するグッズを扱った店をよく見かける。ポスターやら絵葉書やらTシャツに書いてある標語が面白い。「良い子は天国へ行き、悪い子はアムスへ行く」というのには笑った。お土産にHemptrayという名の灰皿と絵葉書を購入。そういえば店頭に大麻も売っていたが、そんなもん持って帰れないではないか。きついジョークである。

午後11時に帰宅。シャワーを浴びて12時ごろ就寝。