走らない人が走り始めるとき (18)

東京マラソンに備える人 (2021年12月~2022年3月)

昨年12月、多摩川河川敷(風の道)で開催された3度めのフルマラソンで3時間50分29秒の自己ベストが出た。初めてのサブ4達成に気を良くして、来年の東京マラソンでは3時間50分を切ってまた自己ベストを出したい、と欲が出てきた。

無味乾燥だが効果は高いRunkeeperアプリのトレーニングメニューを開き、来年3月6日(東京マラソンの日)に3時間45分でマラソンを走るための週3回のメニューを作成してもらう。が、3月6日まで期間が短すぎてメニューが作れない。Runkeeperアプリのマラソン用メニューは最低でも12週間必要なのだ。しかたないので3月20日を目標日にしてメニューを作ってもらい、そのメニューの最初の2週間をスキップして3週間目からこなすというややこしいやり方でトレーニングを開始した。

いつもどおり、週のうち1回は長距離練習、1回はスピード練習、残る1回はリラックス走で回復、という内容。途中少し足を痛めて走れない期間もあったが、7、8割くらいはメニューをこなすことができた。

年が明けた頃にナイキのWebサイトでランニングシューズのセールが開催され、そこでたまたまヴェイパーフライネクスト%2が2万円を切る価格になっているのを見つけて思わず購入してしまった。これを東京マラソンの際に投入しようと2月くらいから数回慣らし履きをする。

が、そこへまたもややってきた新型コロナウィルス感染の急増。2月下旬の大阪マラソンが中止になり、「あー。やっぱり。これで東京マラソンもまた中止だな」と諦めていたのだが、しかし東京マラソンの運営側からランナー受付の案内はちゃんと来るし、スマホアプリを使った事前の毎日の検温も続けるようメールで促される。ひょっとして本当に開催されるのか?

大会を2日後に控えた3月4日。この日は仕事前に最後の調整の5キロをヴェイパーフライを履いて走った。そして夜は仕事終わりにランナー受付のために東京ビッグサイトへ。こんな大規模なマラソン大会を経験したことのない私はその会場の広大さに圧倒される。これまでは大会当日の朝に小さな受付で名前を確認してゼッケンを受け取るだけだったからだ。

アシックスやセイコーなどのスポンサーのブースもいっぱいあって、そんなものがあるとは思っていず、急いでいた私は受付を済ませた後、ほとんど何も見ずに帰宅した。

そして翌日。この期に及んでジタバタしても仕方ない。明日は暑そうだから長く伸びて鬱陶しい髪の毛を切ろうととりあえず朝から散髪に行く。

この時、一番頭を悩ませていたのは翌日にレースで履く靴のことだった。昨日もヴェイパーフライで走った。たしかにあの靴はめちゃめちゃスピードが出る。だけど3時間45分を目指すのにあのスピードは果たして必要なんだろうか。それにクッションの柔らかさがやや不安なのだ。もっとしっかりサポートしてくれる感じのズームフライ3の方が42キロの長丁場を安心して走れるのでは?いやいや、しかしせっかく買ったヴェイパーフライ、この晴れの舞台で使わなかったらいつ使うんだ?もったいないやろ。

などとかなり本気で悩む。結局この日に答えは出ず、明日の朝に決めることにして、昼食はカーボローディング的な感じでパスタ。夕食は近所の豚カツ屋さんでトンカツやチキンカツ、エビフライにホタテフライをテイクアウトして普段あんまり食べない白ご飯もしっかり食べてこれも何となくカーボローディング。

酒はランニングにあまり良くないそうなのだが、呑まない方がストレスになるのでいつもどおり呑む。が、夜10時にはウィスキーを切り上げて歯磨きをして10時半に就寝した。