(14) 和鉄(蒲田)

店主(2人組)は、中野「青葉」の味に魅せられて脱サラし、ラーメン屋をオープンさせたという。研究熱心であり、試行錯誤の末に今の味に辿り着いたらしい。2001年オープンの新店。カウンター10席程度の小さなお店。ただし、木目を基調とした店舗はすこぶる清潔。

煮干しを中心とした魚貝類ベースのスープは「青葉」譲り。ただし「青葉」よりは、ややコッテリしており、その分魚貝類の薫りが弱い。しかし、「青葉」を抜きにして、一杯のラーメンとして見た場合、これはこれで丁寧に作られた良品であると評価できよう。

京浜東北線沿いの大井町~蒲田近辺には、大井町が4強の「凛」(大崎に移転)「のりや」「いちや」「永楽」を擁する一方、大森は「一本槍」、蒲田は「インディアン」「蒲田二郎」くらいしかまともなラーメン屋が存在せず、大井町の一人勝ち状態であったが、この閉塞した状況に風穴を空ける存在があるとすれば、これは「和鉄」だろうと思う。それくらい丁寧かつ真面目にラーメンを作る店である。

麺も細麺ストレートのコシと芯のしっかり通った素晴らしい出来映えで、麺の湯切りもすこぶる丁寧である。白っぽい麺は、まるで更級そばを思わせる素晴らしい出来である。

具の方も、丁寧に味付けがなされた味付け卵が良い。全体的に後味スッキリ、好感が持てる店である。

僕は和鉄つけ麺(850円)を注文したが、

(1)麺11点、(2)スープ14点、(3)具3点、(4)バランス6点、(5)将来性8点の計42点と評価したい。

ハイレベルな店であることに間違いはないが、難を言えば麺とスープとの絡み具合がやや悪く、それで損をしている部分がある。麺とスープ、それぞれの出来は上々なのであるが、ラーメン全体としてみた場合やや一体感に欠けるような気がする。

(最新実食日02年4月)