(15) 魁龍(ラーメン博物館)

現在、ラーメン博物館NO.2の人気店。「一風堂」のラーメン博物館撤退後、代わりに九州は久留米から入居した新店である。ちなみに久留米は豚骨ラーメンの発祥の地と言われており、有名な博多ラーメンも、元はと言えば久留米で生まれた豚骨ラーメンがブラッシュ・アップされてできたものだと言われている。よって久留米ラーメンは、博多ラーメンよりもさらに豚骨の臭味が強く(あれはアンモニア臭であると言われている)、店外にまで漂うその匂いは自ずから食べ手を選ぶと言えるだろう。

整理すると、博多豚骨ラーメンのオリジナルは久留米であり、久留米系の特徴として、豚骨の臭味が博多よりも強く、替え玉システムがないことが挙げられる。博多ラーメンをよりコッテリさせたものが長浜ラーメンであり、あれは肉体労働を強いられる船員達の食欲を満たすために作られた、より旨味の強いラーメンと言われている。

「魁龍」は、そういう久留米ラーメンの店。店外にまで濃厚に漂う豚骨臭は豚骨ラーメンの店を数十店は食べ歩いているこの僕ですら「これは、かなり臭いんじゃあないの」と戸惑ったほどのレベルである。さもありなん、並んでいるカップル達は皆、顔をしかめている。こんな癖の強いラーメンが素人の多いラ博でやっていけるのだろうか、と他人事ながら少し心配になる。

この日僕は、次に「すみれ」で味噌を食べる予定にしていたので、この店では「魁龍ラーメン」の麺硬めを、並に抑えて注文した。

出てきたラーメンは、やや茶色がかった白濁スープにピンと張り詰めたストレートの極細麺が絡んだ、いかにも九州ラーメンらしい外観の一品。具としては、ワンタン2個、チャーシュー2枚、メンマそしてネギというラインナップ。

器から立ち上る濃厚な臭味に若干の不安を感じながらも、先ずはスープを啜る。案外あっさりしているではないか。それでいて、旨味は濃厚である。しかもスープには旨い豚骨ラーメンによくある「骨髄の粉末」の粉っぽさも感じられ、かなり病みつきになりそうな佳作である。

麺は、ごく普通の博多ラーメンの水準を維持している。

むしろ一番驚いたのが具である。チャーシューは、博多ラーメンによくあるお粗末な一品であったものの、肉厚のワンタンが非常にスープと合っていて美味い。豚骨スープにワンタンが合うという事実をはじめて知り、またひとつ勉強になったのである。

結局、最後に残されている大本命「すみれ」に備え、スープをほんの一口残しはしたが、ほぼ完食。万人向けというよりもむしろマニア受けしそうな佳作であろう。しかし少なくとも「一風堂」よりは遙かに美味い。

評価は(1)麺12点、(2)スープ15点、(3)具4点(ワンタンに敬意を表して)、(4)バランス7点、(5)将来性6点の計44点。

都内の豚骨系の名店、例えば高円寺「ばりこて」や綾瀬「金太郎」などよりは格落ち感はあるものの、ここラーメン博物館では十分にやっていけるレベルを保っている。今、ラーメン博物館に行かれるのであれば、「すみれ」は絶対に外せないとして、腹具合に余裕があればここ「魁龍」かあるいは「支那そばや」に行かれることを強く奨めたい。

(最新実食日02年4月)