走らない人が走り始めるとき (1)

走らない人 (1972年5月~2019年10月)

スポーツ全般とは無縁の人生を歩んできた。小さい時からかけっこが大の苦手で、小学校の運動会の時は朝からよく腹痛になっていた。跳び箱は4段くらいしか飛べず、「うんてい」もできない。地元の中学校に入学して、運動が苦手だから吹奏楽部を選んだのに、基礎体力をつけるための運動があることを知ってすぐに退部した。高校時代も帰宅部。学生時代に体育の授業で卓球をやっていたら、「フジカタさー、左利きの癖に、利き腕じゃない右を使って気を遣ってくれなくていいよ」と相手から手の込んだコメントが飛び出すほどラリーが続かなかった。大人になってゴルフを始めたものの、15年やっていて120を切ったことが1回しかない。

そんな私が2年ほど前に何かのきっかけで(何だったか忘れた)ランニングをしてみようと渋谷のスポーツショップでシューズとランニングウェア一式を買ったことがあったが、その後3ヶ月間で自宅周辺を何度か5キロ程度走ったところで案の定中断していた。

それから月日が流れた2019年10月初旬、高校同級生のメーリングリストに1通のメールが流れてきた。「同級生みんなで来年3月の静岡マラソンにエントリーしよう。初心者でも絶対大丈夫!」という主旨の、しかしなぜか魔術的に惹き込まれる文面に誘われ、本当に熱に浮かされたようにフラフラと静岡マラソンのWebサイトを開けてエントリーしたのであった。