(22) 中本(池袋)

激辛ラーメンで有名な、板橋の名店「中本」が満を持してオープンさせた支店第1号。タンメンの上に麻婆豆腐をぶっかけた「蒙古タンメン」が看板メニュー。

この店はそれぞれのメニューの辛さを5段階で表記しており、「蒙古タンメン」は「3」。ちょうど中間的な辛さらしいのだが、それでも、普通の「辛い」といったレベルを完全に超えているだろう。

それよりも辛いメニューの代表として「北極」というビジュアルも真っ赤なラーメンがあるが、僕には一生食べることはできないだろう。辛いものが得意ではない僕にとっては、見ただけでも戦意を喪失させられるような恐るべき一品である。いずれにしても、「中本」に向かわれる方にとって汗を拭くためのハンカチは必須品である。

この日は「蒙古タンメン」を食した。

食べ初めはさほど辛みは感じないものの、中盤に差し掛かった頃から、麻婆豆腐がスープに溶け出すことによって生まれる辛みが味覚中枢を容赦なく刺激する。「怖ろしく辛い」という表現ぶりが適切だろうか。「北極」を平然と平らげる人間が化け物に思われてくる(存在するのだからまた怖ろしい)。

肝心のラーメンの味はと言えば、麺は予想よりもコシの強い太麺ストレートで、スープを十分に絡め取るように工夫されている。またスープも、単に辛さを売りにした陳腐なものでは決してなく、その奥に野菜ベースの優しい旨味を含んでおり、流石は「中本」と思わせるに十分な佳作。辛さの中に甘みがあるのである。このバランスは一朝一夕で創造できるものではない。

具にはさほど突出したものがあるとは思われなかったが、それでもかなり美味い。さらに、食後感が極めて良いことも特記すべき事項のひとつである。辛みの中に煮込んだ野菜の甘みが溶けだしており、玄妙な味を創出している。なるほど。中本には信者と呼ばれているフリークが多いことでも有名なのだが、「さもありなん」と思わせるところは確かにある。

もう一度行きたくなる何かを秘めた一杯。

(1)麺12点、(2)スープ14点、(3)具3点、(4)バランス7点、(5)将来性7点の計43点。