妥協のない欧州の旅 (5)

1月3日 ブリュッセル

1月3日(土)
昨日の夕食のせいか、二人とも腹の調子が悪くて気持ち悪い。起きる気がせず、結局午後2時頃までうだうだと寝ていた。

いかんいかん。このままだと1日中なにもしないままに過ごしてしまいそうだ。意を決してベッドから這い出て、着替えてとりあえず食事に。今度は慎重にガイドブックで下調べをし、”Gaufres de Burxelles”というカフェに行くことに決定。ゴーフルとはワッフルのことである。そうなのだ。ベルギーに来たのだからやっぱりワッフルは食べておかないと。というわけで、本場のリエージュワッフルにホイップクリームとバナナのトッピングを追加して頬張る。いやはやこれがめちゃくちゃに美味かった。

やっぱり旅で一番大切なのは食事である。二人ともすっかり元気を取り戻し、王立美術館へ。ベルギーはヨーロッパのなかでも比較的小さくて目立たない国である。したがっていかに王立美術館といえども過剰に期待しないほうがいいんではないか、とタカを括っていた私は完全に誤っていた。これがほんとに素晴らしいコレクションであった。時間が2時間弱しかなく(午後5時には閉館してしまうのだ)、20世紀絵画とブリューゲル(ベルギー出身の16世紀の画家。主に農民の暮らし等を題材にした。私の好きな画家の一人である)くらいしか観て回れなかったが、それでもお腹一杯になった。なかでも私の最も好きな画家の一人、ルネ・マグリットのコレクションは素晴らしかった。変ったところではナム・ジュン・パイクの作品も2点展示されていて、これも面白かった。

このほかにも数え切れないほどの名作が所蔵されているらしい。ここはぜひもう一度訪れたい美術館である。大量の作品にもかかわらず、広々として非常に観やすく展示されているのも好印象。お奨めであります。

閉館と同時に美術館を出て、バスに乗ってホテルに戻った。今晩は妻のイギリス留学時代の友人でベルギーに住むスーザンとその家族の方々がブリュッセルに来てくれて一緒に食事する予定だったのだが、待ち合わせの時間になってもホテルのロビーにやって来ない。どうしたんだろうと妻がスーザンの自宅に電話をすると、なんと彼女、足を骨折したとかで動けないそうな。なんじゃそりゃー。そんなんだったらホテルに連絡してこんかいな。

しかたなく二人で夕食のために外出。昨日の二の舞は御免である。ここは堅くいこうと二人で相談して、”Chez Leon”という店にした。このお店、古くからある(19世紀末に創業したそうである)チェーン店であって、いわば歴史のあるファミレス。パリにも店を出しているくらいだから安心できる。二人で前菜をいくつか頼み、メインにムール貝の白ワイン蒸し。リーズナブルで美味かったし、サービスもきちんとしていた。やっぱこうでなくっちゃね。

ブリュッセル名物「小便小僧」を見学し、ホテルに戻ったのが午後9時。テレビ等を見つつ、ビールを呑んで午後11時頃就寝。昨日の痛恨の夕食からずいぶん立ち直った二人であった。