おノロケのない新婚の旅 フランス篇 (2)

7月23日午前 パリ

朝8時起床。まずは腹ごしらえ。朝食は地下にあるホテルの食堂で。クロワッサン、コーヒー、タマゴ、ハム。ヨーグルトとフルーツ。やはり中東系の観光客が目に付く。部屋に戻って支度をし、さっそく外に繰り出す。

ポルト・マイヨー駅からメトロ(地下鉄)に乗ってコンコルド駅へ。上に出るとそこがコンコルド広場である。ここはその昔、フランス革命後にマリー・アントワネットやらルイ16世なんかがギロチンで首をはねられた場所だそうである。最近できたばかりという観覧車に乗ってまずはパリ市内を見渡す。絶景だ。いっしょに乗ったのは孫を連れたおばあちゃん。おそらくフランスのどこか地方都市から来たのかもしれないが、孫に「あれは●●●という寺院よぉ」「そんであっちが□□□□という建物ね」とどんどん説明している。それを聞きながら、なんとなく理解した気になる。

フランスの観覧車って日本と違ってやたらに回転が速い。なんだこれは。こんなもんボッタクリやんけ~。と思ってたら、そのかわりに5回転くらいしてくれるのだ。うーん。どっちが得なのかよくわからない。

観覧車を降りて東側にずーっと伸びるチュイルリー公園をどんどん歩いていく。向こうに見えてくるのはかの有名なルーヴル美術館。で、で、でかい。なんちゅうでかさ。ここに限らず、パリを観光していた思ったのが、歴史的建造物がどれも無闇に大きいこと。絶対君主の権力がいかばかりであったか、21世紀の極東の一市民からは到底想像がつかない。

さらにこの広場。植物、噴水、彫像などの配置が見事なまでに整っている。木々の刈り込み方にも一部の隙もない。なんというのか、われわれ日本人(あるいは東洋人といってよいのかもしれないが)の意識の中には「侘び寂び」というのか「言いおおせて何かある」というのか「花は満開ではなく、咲く直前のつぼみと散り際が美しい」とか、そういう美的感覚というか美意識というが、やはり今でもどこかにしっかりとあるような気がする。いやいや。そんなこと今まで別に意識したことはなかったのだ。だが、ここまで圧倒的な完璧さを見せつけられると、そんな気持ちが突如として噴きだしてきたのであった。完全なるシンメトリー。かつて70年代後半から80年代、日本人デザイナーたちが西洋的美意識を木っ端微塵にし、パリのファッション界を震撼させたという事実がなんとなく理解できる気がした。

さて、ルーヴル美術館、ただでかいだけではなく、近くでまじまじと観察したが彫刻も見事なものであった。と外観ばかりに言及しているが、実はあまりの行列に辟易して中には入らなかった。それでも2000年にできたピラミッド型のモニュメントの前ではしっかり記念撮影。全面ガラス張りのこの作品、あくまで重厚なルーヴルの建物自体とのコントラストが非常に面白い。

ルーヴルを離れて北へ。隣接するパレ・ロワイヤルを歩く。ガイドブックによると、ここはもともと宰相リシュリュー(ええっと。昔勉強した世界史の記憶をたどると、たぶんルイ13世の頃の宰相だったと思います)の家として1639年に建てられたもの。その後ルイ14世が幼少時代に少しの間住んでいたことがあるので、この名前(パレ・ロワイヤル=王宮)がついたそうだ。ここには広い庭園があって、これがまた完全なまでの左右対称を基調としたもの。手入れが行き届き、まことにすばらしく美しい庭園である。ベンチに座ってしばし休憩。ここに限らず、街には「ここにベンチがあったらいいのになあ」と思うところには必ずベンチが置いてあって、「のんびりまったり」好きの私にはたいへんありがたい。

そこからさらに北へ移動すると国立図書館がある。しっとりと静かなたたずまいである。中も少しだけ見学。図書館を出ると、お。目の前にJ.P.ゴルティエのブティックが。ここが本店である。こちらも記念に店内をうろうろする。それほど広くないが二階建ての、いかにもゴルティエ風なインテリアで装飾されたもの。ちなみに価格は日本と同じくらいであった(買わなかったけれど)。

街を散策するうちにお昼である。